VOL.13

2024.05.30 THU.

ラグ&カーペット ティーズ

ラグ&カーペット
ティーズ

店内にはペルシャ絨毯、キリムが山のように積まれている。(とはいえ、乱雑ではなく整然と!)いったい、何枚あるのだろう(何百枚?何千枚?)。おもにイラン革命以前のものだそうだ。つまり、希少なものばかり。
壁にかけられた絨毯を眺めていると、ジッと見入ってしまう。一枚一枚にストーリーがあるので、玉木さんの一流の楽しい解説をぜひ聞いてみてほしい

神戸ファッションマート3F

ラグ&カーペット ティーズ

前回に続いて、「これぞ、プロの目、プロの技」というテーマでお話を伺うべく、お店へお邪魔した。それほど、ペルシア絨毯の世界は奥が深そうだし、玉木さん自身にもっと引き出しがあるのではないかと思ったからでもある。
ところが、いきなり、「この前、話してしまいましたからねえ。もう、話すことはないですよ。どうしましょう?」と、機先を制されてしまった(さて、困った)。そこで、こちらから「プロとアマチュアの決定的な差はどこでしょう?」と、質問を投げかけることからインタビューを開始した。

オーナー 玉木康雄 さん

大学卒業後、百貨店の外商部に勤務したあと一念発起して退社。イラン人のもとで修行し30年前に独立。特殊な世界であるペルシャ絨毯への造詣は驚くほど深い。そして独自の仕入れコネクションを持っている。
とにかくその知識と経験に触れ、さまざまな商品を見るだけでもこの店に行く価値がある(できたら、買ってね。笑)。

僕はプロじゃない。

しかし、いきなりの答えが、コレ。玉木さん曰く。
“プロには2種類ある”とのことだ。売ることに対して純粋(?)というか売りに一直線なタイプ。これは、相手を見ながら、ちゃんと商売に結びつけるタイプ。相手の言うことをちゃんと受け止めて、それならこんな絨毯はどうですか。と、的を外さない提案ができるタイプ。「売ることに対して策があるひと」であり、売ることに関してのプロだと玉木さんは言う。

「僕は絨毯に関してはプロ中のプロだと自認しています。自画自賛かな。笑」。正直、じぶんは売ることに策がないと思っています。だから、“プロじゃないなあ”と、思うのです。(そばで聞いている奥さまがウンウンと激しくうなずく。笑)その姿を横目で見ながら、「売ることに関しては家内の方が才能はあるんじゃないかなあ。商売の才と絨毯を見る才は別だと思いますね」。

ほら、壁に貼ってある絨毯を見てください。この間、やりかえたところなんですが。ご覧になって、どうですか。ぜんぜん、違和感がないでしょ。これらは、同じような時代のものですが、みな、地域、民族、工房が違うんですよ。それでも、これだけ違和感なく飾れるのは、じぶんだけじゃないかなあと、思います。

絨毯が出している空気を感じるチカラ。

焼き物でもそうだと思うのですが、産地だけでは何も語れません。窯があり、つくり手がいて、つくった背景もあるはずです。それなのに、“有田”だとか“備前”だとか、産地が前に出ていますよね。絨毯も同じなんです。どうしても“お印(ブランド)”がほしいから、産地が重宝されます。でも、同じ産地でも、地域も違えば、民族も、工房も違う。それこそ、千差万別なんです。「どうつくられたか。どんな気持ちで織られたか」によって、出している空気が違うんですよね。その空気は織ったひとの気持ちも醸しています。

じつは、一歩引いてみることで感じられるものがあるんです。結び目の間から、つくったひとの気持ちが滲んでいるんですよ。そんなことを言うと、嘘臭いかもしれませんね。事実、そうやって、何百枚の中から1枚を選んでいます。例えばですが、仮にぜんぶの中からその1点を選んで見せてしまうと、いちばん良いものだけが売れてしまいます。でも、じぶんはそうしてしまうんですよね。“商売ありき”だと、そこまでしなくて良いんですけどね。それなりに売ることができないタチなんです。だから、じぶんはプロじゃないと思います。ただし、“売ることにおいてのプロ”という意味ですけどね。

こういうことを話しだすとキリがないですね。取り止めのない話ですが、こんなことで良かったですか?

とんでもないです!とても面白く興味深いお話でした!

良かったも何も、「プロの目」「プロの技」と、もうひとつ。「プロの心意気」を知ることができました。とても奥深い話をありがとうございました。「プロじゃない」というプロ。それは、ひとえに他のプロとは一線を画しているということだと、思います。そこ、大切ですよね。ひとと同じじゃつまらないですもんね。ヨソとは違う価値こそ、プロではないでしょうか。
「わたしはあなたと違います。」という強烈な自負を感じました。楽しくユーモアに富んだ玉木節を堪能しました。仕事のお話だけじゃなく、クルマやインテリアなどプライベートな趣味のお話もぜひお聞きしたいですね。今日は、ありがとうございました!

インタビュー&ライティング 田中有史

 

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