VOL.10

2024.03.15 FRI.

カーテンコール
コレクション

オーダーカーテンやクッションなどのインテリアファブリックを中心に椅子の張り地、輸入壁紙、ラグ、カーペットなどを幅広く取り扱う。店内には常時300点以上のカーテン生地を在庫。この店オリジナルのカーテンサンプルを多数展示。窓装飾プランナーの資格を持つスタッフが要望に応じた提案をしてくれる。

神戸ファッションマート 1F

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窓装飾プランナーの肩書きを持つ店長の阿辺さん。前回に続いて2度目の登場。そして、今回のテーマも「まさかの、こんなものがあります」だ。この店のシンボル的な商材といえば、やはり窓まわり。カーテンだ。ということは、今回もカーテンだろうか。
と、勝手な想像をめぐらしていたら、あら、ま。ご紹介いただいたのは壁面装飾にもなるファブリックのタイルだった。カーテンだけではない、カーテンコールさんだったのだ。

店長・窓装飾プランナー
阿辺麻友香 さん

芸術大学で染色テキスタイルを専攻。卒業後、窓装飾プランナーの資格を取得し現在の会社で、カーテンやブラインドの提案・販売を担当して約10年になる。店頭での販売だけでなく実際にお客さまの自宅にお伺いして、現場を見たうえでお客さま目線での提案ができるように心がけている。

アートになった壁面。

カーテンコールさんに壁材?と、思ったのはこちらの早とちり。この「FAB‒ACE®ファブエース」はカーテンメーカーである「株式会社川島織物セルコン」の取扱商品なのだ。だから、カーテンコールさんにあっても不思議はない。販売はもちろん施工だって可能だ。ちなみに川島織物といえば講堂や劇場に設えられた緞帳、祇園祭りの鉾や山を飾る幕などの豪華絢爛な刺繍でも名高いメーカーだ。装飾性の高いファブリックはお手のものだ。

なんと、それは、壁面装飾用のファブリックタイルだった。

このタイル状の壁面装飾材はファブリック。布だ。ファブリックだからデザイン性(意匠性)が高く、壁面を装飾できるというものだ。硬質で冷たく見えるタイルとは持ち味が違い、ファブリックらしい温かみと上質感が特長だ。数種類の生地を組み合わせたデザインも可能で、その組み合わせはなんと250種類以上にもなるとか。250種類以上の色と柄から、好きなものを選んでアートを制作するように組み合わせていけば、オリジナルの壁面装飾ができあがる。
もともとの素材がファブリックだから、壁に貼ることで音を吸収する働きがある。さらにこの製品は、高い吸音機能も備えているから鬼に金棒。専用のファブリックと防火クッション材を使用すれば防火材としても使えるのだが、下地の組み合わせにもよるので、要相談だとか。まだまだ知られていないから、いまは公共施設で使われることが多いようだ。今後は一般住宅にも広めたいと展望している。

ほとんどのお客さまがカーテンを目当てにやって来られるが、いろいろお話をしてオススメしている最中らしい。お家でピアノ演奏会を開催したり、映画や音楽を楽しむAVルームをつくりたいなどとお考えなら、ピッタリではないだろうか。そこまで本格的な趣味の世界でなくとも、リビングや寝室にもこの上質な質感と防音性能はありがたい。どんどんお客さまに提案していきたいと語る阿辺さんの意欲が、こちらにも伝わってくるインタビューであった。

ひとびとの気持ちの中ではコロナ禍はもはや終息し、ひとが集まる機会も増えてきた。いま、この防音性能を持つファブリックタイルの需要は多いのではないだろうか。
W杯予選も熱を帯びてきた、サッカーフリークのお宅にも、いかがだろうか。大声で応援したり、キャーキャーと一喜一憂しても隣近所に迷惑をかけないだろう。昨今は自宅のリフォームニーズも高まっている。この商品の出番だ。どんなふうになるかを確認したいのなら、カーテンコールさんへどうぞ。現在、店舗のカウンター下の装飾として展示中だ。

インタビュー&ライティング 田中有史

石田洋服店

石田洋服店

神戸を代表するビスポーク・テーラー石田洋服店。ビスポークとは英語の「Be spoken」から派生した言葉といわれ、お客さまとテーラーが話をしながら、注文に応じて好みの服を仕立てていくスタイルを指す。石田洋服店は、お客さまと話すという原点を大切に服づくりと向き合っている。

神戸ファッションマート1F

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以前に訪問した際に見せていただいたが、お店には古い時代の服、書籍などが資料としてたくさんコレクションされている。やはり今回も古いものか?それなら、どんなレアなものをご用意していただいているのだろう。と、期待に胸を躍らせて店を訪れた。示されたテーブルに着席すると、少し離れたところから、“じつは、これなんです”と石田原さんが持ってきたのは、なんだか由緒ありそうな古い箱であった。

店長 石田原弘 さん

祖父の時代はテーラーを営み、父の代からテーラーに生地を売る紳士服地の卸売業になった。石田原さん自身は大学卒業後、ヨーロッパで服地を扱う会社に入社。その後、総合商社を経て家業である卸売業を継ぐ。そして家業を再び、祖父のころと同じ小売業(テーラー)に戻す。紳士服ひと筋の人生を歩むひとである。

面倒なおタカラ。

石田原さんが恭しく手に持つ箱には、達筆で「御衣」と墨書されている。“これ、なんと読むと思われます?”と、石田原さんから問われる。「ぎょい」だろうか?「みころも」だろうか?と、アタマの中で自問する。“ぎょい、おんぞ、みけし、おんころもなど読み方はいろいろとあるようですね。いずれにしろ天皇や貴人のお召し物という意味らしいです”

なんと、石田原さんによると、これは明治天皇がご愛用になっていたフロックコートということだ。ちなみにヨーロッパで現在のような短い丈のジャケットが登場したのは1800年代半ばのこと。それまでは、丈の長いモーニングコート、イブニングコート、フロックコートなどが用いられていたとか。フロックコートはその中でも普段着として着用されていた。このお召し物には天皇の衣服であることを示す目録(謂れを示すもの)がちゃんと付いている。正真正銘の天皇から授かったもののようだ。ただ、あまりにも由緒あるものなので、店頭に気軽に飾るには畏れ多いし、かといって倉庫に仕舞い込んでホコリを積もらせてしまうなんていうのは、もってのほか。おいそれと粗末にはできない。「うちにあるのは、ありがたいことなんですが、はて、さて、どうしたものかと思っているんですわ。」と、苦笑する石田原さん。(けっして、厄介などという言葉は使わないが、あまりに貴重すぎるものだけに、扱いに困るというニュアンスが言外にあるような、石田原さんの苦笑であった)

なんと、それは、明治天皇の遺品だった。

なぜ、こんな希少なものが石田原さんの手元にあるのだろう。箱に添えられた目録や石田原さんが叔父さん(後述)から聞いた伝承によると、これは明治天皇が普段、愛用されていたお召し物であることに間違いがない。それを、ある子爵が天皇家から形見分けとして授かったこと。その子爵から、ある皇室御用達のテーラーの方が頂戴されたこと。そのテーラーの方から、テーラーであった石田原さんの祖父が譲り受けたこと。さらに、祖父から叔父さんが受け継ぎ、事務所に保管されていたこと。ついにはまわりまわって、叔父さんから石田原さんの手元にやってきたとのことである。余談であるが、ある記録によると明治天皇は180cm90kgを超える、当時としては巨体の持ち主であったらしい。でも、このお召し物はそんな巨体の持ち主に合わせて仕立てられたものには見えず、かなり小柄なひとのものに見える。ただ一説によると、明治天皇の身長は162cmだったともいわれている。

防虫効果が高いといわれる桐の箱に入っているせいか、経年変化はほとんどなく繊維のほつれもない。当時の仕立ての特長なのか、裾はかがっていなくて切りっぱなしである。生地は日本の伝統織物であるシルク(絹)と思われるとのこと。明治5年の洋服着用の太政官発令(宮中における礼装は洋服を持って正装となす)以来、明治天皇は和服を着ることがなくなった。
本日は、眼福のひと言に尽きる取材であった。ありがとうございました!

取材が終わったところで、石田原さんとの雑談。前回に続いて今回もまた、古い本や雑誌を持ち出して見せてくださった。石津謙介さんやくろすとしゆきさんらとのエピソードをお聞きできたし、くろすさん直筆のサイン本も見せていただいた。年代的にも普段のファッションからも、石田原さんがトラッドと呼ばれるIVYファッションの洗礼を受けた世代であることは一目瞭然。いわば、日本ではじめて男性がファッションに目覚めた世代。じつは同世代のわたしもIVYで育った。楽しい取材だったなあ。まさに「Be spoken」できました。

インタビュー&ライティング 田中有史

タリーズコーヒー 神戸ファッションマート店

タリーズコーヒー
神戸ファッションマート店

タリーズコーヒーのトップバリスタである「チーフバリスタ」は、全国にわずか10名しかいない。ところがなんと、この店に在籍しているのだ。ガラス越しに六甲アイランドの空気を感じる、居心地の良い店。地域社会に根ざしたコミュニティーカフェを目ざしている。

神戸ファッションマート1F

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カフェに子どもは似合わない?
一概に言えないかもしれないが、カフェは大人たちのもののように思われがちだ。それは、なぜか考えてみた。子どもたちが喜びそうなものが、あまりないのではないだろうか。コーヒーはやはり大人の飲み物だし、子どもメニューのあるカフェって、あまり聞かない。きっと、そのせいだよね。なんていう、そんな勝手なイメージが、今回の取材で崩れ去ってしまった。ここ、タリーズコーヒー神戸ファッションマート店には、子どもたちが喜びそうなことが、いろいろ用意されている。それは、なぜだ?

ストアマネージャー 西本ひかり さん

阪神甲子園球場でグッズ売り場・場内スタッフの職に就く。KCJ GROUP株式会社にて、キッザニア甲子園パビリオンリーダーとなる。現在、ターリーズコーヒー神戸ファッションマート店でストアマネージャーを務めている。

子どもたちの夢の応援。

まずは、タリーズコーヒージャパンの経営理念のひとつに、「子どもたちや青少年の成長を促すために、夢や目標のお手伝いをする」という言葉があること。その理念の実践のために、タリーズコーヒーではさまざまな活動を行っている。その活動のシンボル的なアクションが「タリーズピクチャーブックアワード」という絵本作家の発掘プロジェクトだ。絵本の絵と文章を募集し優秀な作品は、タリーズコーヒージャパンが絵本として刊行してくれるのだ。そして、刊行した絵本は店内で販売されているだけでなく、店内で閲覧もできる。

意外や意外、絵本の販売・閲覧もできるのだ。

このプロジェクトは2003年からスタートしたので、もう20年を超える。だから、すでに20冊以上の本が刊行されていることになる。店内を見渡すと、子どもたちの目につきやすいように、子どもの目線の高さの棚に本が置かれている(なるほど、やさしい心遣いだ)。平日の店内には、子どもたちが学校の間にママ友たちが集まる。ママたちに連れられて未就学のちびっ子たちもやってくる。店内に入ってきた小さな子どもたちは、一目散に本のところへ駆け出してくることも多いという。小さな子どもたちがみんなで座って本に夢中になっている姿は、じつに微笑ましい風景なんだろうなぁと、想像できる。ベビーカーの弟や妹に読んで聞かせてあげている姿に、西本マネージャーは、思わず笑みが溢れるそうだ。
そのほかにも、じつはタリーズコーヒーでは子どもたちが好きな“ハリーポッター” や“トムとジェリー”などと、年に何回かコラボ商品を出している。ドーナツ、ドリンク、フード、グッズなど。子どもたちが喜びそうなものを出している。
また、キッズメニューも充実している。おやこパスタセット、りんごジュース、ミルク、ココアなんていうのもある。子どもたちが大好きなホットドッグの種類も豊富だそうだ。
ということで、企業理念に則って、子どもたちを応援し見守っているタリーズコーヒーでした。

こんな情報を知ったうえでお店を訪ねてみませんか。タリーズコーヒーを見る目が変わるかもしれません。童心に帰って絵本を読んでみるのも楽しいかもしれない。ホットドッグとかキッズメニューも食べたくなるかもしれない。いつもと違う、タリーズコーヒーの新しい楽しみが見つかることだろう。そろそろ、窓の外の風景も新しい季節に変わるころだから。

インタビュー&ライティング 田中有史

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