VOL.07

2023.8.21 MON.

TOPWATER
TACKLE,s

スポーツフィッシングの中でもカジキやマグロなどのビッグゲームに特化したマリンショップ。巨大なショップ面積を持ち、フィッシングや船用品の全般を取り扱っている。大会への多彩な出場歴を持つオーナーは専門的な知識と豊富な実践経験を有している。扱う商品はすべてオーナーが使用し、その実体験をもとにアドバイスを行う。

神戸ファッションマート 3F

TOPWATER TACKLE,sのショップページへ

“とっておきシリーズ”に2回目の登場となる「TOPWATER TACKLE,s」油野部長。
「今日は“絶対にヨソにないモノ”というテーマでお話を伺いに来ました」「さて、どんなモノがありますか?」という出だしからお話がスタートした。

部長 油野功一 さん

大学時代は全国でも約10校にしかないといわれる「クルージングクラブ」に所属していた。カジキ釣りを趣味とし、卒業後も釣りや船と関わっていたいとこの会社に就職した。油野さんの父もカジキ釣りを好み、その血を引いた油野さん自身もカジキ釣りを愛する。いまの仕事が天職とも言えるほど向いているのだろう。

「絶対にないモノ」ですか。モノということでしたら、
ヨソとの違いは「実際に店にある」ということになりますね。

そうですね。もちろんモノ自体が他社さんの場合には取り寄せになる場合でも、当社ですとトローリング用品を実際に在庫していますし、展示もしています。同じモノを選ぶにしても、実際に店にあるということは目で見て手でふれて確認できるわけですから、そのメリットはお客さまにとって大きいのではないでしょうか。スピード感もさることながら、いろいろと実物で比べて選んでいただけるのはお客さまにとって他社にはない魅力があると思っています。

「カジキ釣りをはじめたい」というお客さまにとって、
一式を提案できる点もヨソにはないと思います。

最近では、“カジキをはじめたいなら”“カジキといえばトップウォーター”というふうに、業界でうちの知名度が上がっています。
ですから、船を持っていてふつうの釣りをしているけど、カジキをはじめたいとなったときには一式ですね。たとえばそのお客さまのご要望やお悩みに合わせて、釣竿、カジキ用のリール、ロット、ラインなどをすべて揃えることができるのもヨソにはないうちだけの魅力ではないかと思います。大会ですとライン規定がありますから、それに対応したものを用意できますし、そうじゃなければ途中からラインのサイズを変えて巻ける長さを伸ばすことなんかも臨機応変にやったりできます。

お客さまそれぞれで船の環境も違います。例えば、アウトリガー(ルアーをたくさん流すための竿)が付いていなければ、簡易にアウトリガーの役割を果たせるロットホルダーをご提案します。また、船を海上に係留しているのか陸上に保管しているのかで、必要なものも変わってきます。船の側面を保護するフェンダー(防舷材)やロープなどは船の保管方法だけでなく、例えば島へ行くことが多いとか使い方によっても変わりますからね。

道具の在庫だけじゃなく情報も集まってくるところも、
ヨソにはないうちだけの魅力でしょうね。

毎年ショップのフィッシングダービーを開催しているので、釣れたらけっこう情報がオンタイムでやって来るんです。「和歌山ではいまカジキがカツオを食べているよ」となると、カツオの色に近いルアーをお勧めできます。
「いま、このルアーで釣れているよ」という情報が来れば、お客さまにはこの5本の組み合わせにされたらいいですよとオススメできます。

釣りではなく“狩り”の感覚。
それがファイトと言われるカジキ釣りです。

カジキには“吻(ふん)”と呼ばれる長い剣のようなものがありますから、とても危険なんです。気を抜いたりすると刺されちゃう場合もありますからね。
チカラも強いですから、充分な注意が必要です。200kg近いものだと1時間から2時間もファイトしますからね。そのときなんですが、電動のリールで一気に上げちゃうとカジキが弱っていないから暴れて危ないんですよ。ですから手動でジワジワと体力を奪いながらリールを巻きあげて船に引き寄せるんです。そして引き寄せておいて棍棒でガツーンと頭のあたりを強く殴って気絶させて、それからやっと引き上げるんですよ。ふつうの釣りじゃないでしょ。

釣り上げられないから、“釣り”じゃなくて“狩り”のような感覚ではないでしょうか。
だからカジキをはじめビッグフィッシングを、「ファイトする」って言うんでしょうね。ファイト!って、なんだかカジキ釣りに似合っていますね。

カジキ釣りは“ロマン”。
魚類でいちばん強い者と勝負したいという人間の願望。

カジキ釣りの魅力をひとことで言うと、魚類でいちばん強い存在のものをじぶんのチカラであげるというところじゃないでしょうか。いろいろな趣味をやってきて海でいちばん強いものと勝負をしたいという“ロマン”だと思います。カジキ釣りは“ロマン”です。だから、いくら出漁しても釣れなくても、ガソリン代が山ほどかかっても、やっぱりヒットした時の興奮と釣り上げたときの感動を求めてまた海へ出たくなるんでしょうね。

そしてスポーツのように気を抜けないところも魅力でしょうね。カジキ釣りは本当に気を抜けないです。気を抜くとせっかく掛かってもバラしてしまいます。いまのような真夏の季節ですとファイトしている間は手を離せないので水分補給も大変です。喉がカラカラになってくると、側にいるひとにお願いして水を飲ませてもらいます。でないと、脱水症状や熱中症になりかねませんからね。えっ?オシッコですか。カジキとファイトしているときは、アドレナリンが出っ放しなのでオシッコが気になったことはないですね(笑)

いまはシーズンのド真ん中です。7月から10月ころまでは最盛期なので本当に忙しいです。でも、土日はカジキ釣りに行かれるお客さまが多いから来店される方は少ないんですよね。ワタシも明日から3日間、新西宮ヨットハーバーから和歌山のすさみへカジキ釣りに出かけます。じぶんとしては、150kgのカジキを1時間半かけてあげたのがいままでの自己記録なんです。今回こそ、その記録を超えたいですね。

実際に釣り上げられたカジキの写真

「明日からファイトは熱中症に気をつけて頑張ってきてくださいね。本日は、出発前のお忙しい中、ありがとうございました。ところで、目標は何kgのカジキですか?」

「200kgはいきたいですね!」

専門的な用語も多くて難しいお話なのに楽しくわかりやすく語っていただき、インタビューという仕事なのを忘れてとても楽しめました。最後のカジキ釣りの魅力のお話には、「老人と海」の物語を思い出してしまいました。ロマンという言葉には“浪漫”という漢字が似合いますね。きっと、見事に大物をあげたあとのビールが美味いでしょうねえ。Have a good fight!

インタビュー&ライティング 田中有史

※写真撮影時のみマスクを外しております。各店舗とも適切な感染症対策を実施しております。

絨毯ギャラリー

何度も現地をお訪れ直接工房から買い付けた膨大なペルシア絨毯のコレクションを展示公開している。展示商談スペースのほかに、日ごろ目にすることが少ない貴重なアンティーク絨毯や古い時代の道具をはじめ、希少な研究図書の閲覧までできる「シルクロード絨毯ミュージアム」、イベントや講演会など多目的に使える「サロン」などの施設も有している。

神戸ファッションマート 3F

絨毯ギャラリーのショップページへ

“とっておきシリーズ”に2回目の登場となる「絨毯ギャラリー」の大熊社長。インタビューさせていただくワタシとも初対面ではないので、顔見知りという感じでぎこちなさは一切なく滑らかに会話がはじまった。

代表取締役 大熊直子 さん

父であり絨毯ギャラリーの会長でもある先代の後を継いで現職となった2代目社長。ペルシア絨毯を語る熱い言葉からも感じられるように、アクティブでスマート。いつもズバズバと気持ちの良い受け答えが好印象。自ら買い付けのためにイランの倉庫(生産した絨毯を集めた集積所)へ出かけて現地との良い関係を築いている。

うちにしかないものと、ずっと考えていて、
ふと気がついたんですよ。

今回は“絶対ヨソにはないもの”というテーマをいただいたので、きょうは何をご紹介しようかとずっと考えていたんです。どんな絨毯ならうちにしかないかなあ、と。たしかにうちにしかないものはたくさんありますけど、それだと絨毯屋としては当たり前でおもしろくないですよね。何かないかなあと考えているうちに、ふとひらめいたんですよ!「これだ!これしかない」と(笑)。

それは、「絨毯ミュージアム(正式名称はシルクロード絨毯ミュージアム)」です。これなら、絶対にうちにしかないでしょ。だって、ミュージアムがあるような絨毯屋さんなんか世の中たぶんないですもんね。

「ミュージアム」を持っているようなショップは、
きっとうちしかない!

そもそもは会長のコレクションを展示したいなあと思って。ここへ引っ越してきた約20年前に、ミュージアムをつくりました。会長が約50年かけて集めてきたものですが、以前の場所では展示できなかったんです。
皆さんにもっとペルシア絨毯にふれてもらいたい、もっと知ってもらいたい。そして、学んだあとに買っていただけたら(笑)、という思いでつくったんですけどね。会長が絨毯屋をやりながらコツコツと集めてきた古い絨毯や当時の織り機などの道具類、国立民族学博物館の杉村棟先生(イスラム美術の研究者)の蔵書を譲り受けたものなどを展示しています。

博物館ではさわれないようなものでも、
うちではさわってもらってOKなんですよ。

海外ではそうでもないところも多いですけど、日本なんかですと美術館や博物館といえば、展示品をさわらせてもらえないし写真もダメじゃないですか。
うちは、ぜんぜん大丈夫。さわってもらってOKですからね。靴を脱いで実際に絨毯を踏んでもらって感触を味わうことができます。絨毯って、生地はもちろん織り手や機械によって目の詰まり方が違い、さわったり踏んだときの感触が違いますからね。そこから絨毯に興味を持っていただきたいと思っています。

うちにある貴重なものですか?それこそイギリスの「ビクトリア&アルバート美術館(各国の古美術のコレクションを誇る)」や滋賀県の「MIHO MUSEUM(シルクロード美術のコレクションで有名)」にあるようなもののレプリカなどがあります。第一次世界大戦のころの各国の元首のお顔を織り込んだ絨毯というような珍しいものもあります。もちろんレプリカですけど。そこには大正天皇や当時のイギリス国王のお顔もあります。

学生さんやプロの方はもちろん、
親子でシルクロードを学ぶきっかけにしてほしい。

見学に来られる方で多いのは大学の学生さんですね。デザインや建築関係、インテリアコーディネイトの勉強されているような方が多いですね。インテリアコーディネイターをめざす方にとっては、これだけのペルシア絨毯を目にできる機会はそうないでしょうね。ペルシア絨毯といえばバブルのころならステイタスの象徴のような存在でしたし、いまでもそれなりにお高いですからねえ。ごじぶんで買えるのはまだ先でしょうから、いちどは実際に見て色や柄を目に焼き付けておくことは勉強になると思います。

あとは小さなお子さまと保護者の方ですね。夏休みなんかに「親子で学ぶシルクロード」フェアを開催して、実際に手で糸を紡ぐ体験もしてもらっています。見たりふれたりしている間に、子どもたちが興味を持つことがあれば、それこそ本は山ほどありますからね。本を探し出す方が大変かもしれませんけど、自由研究に役立ててもらうこともできます。
もっともっと多くの方にご利用していただきたいんですが、宣伝下手なもんでまだまだ知られていない存在です。神戸市の観光サイトなどにも載せていただいていて、11月には神戸市の観光ウィークで無料開放していますから、ぜひ多くの方に知っていただきたいです。

というところで、そろそろ実際に見せていただきましょうということで、ミュージアムへ移動。入り口は一見イベント会場のようですが、靴を脱いで中に入ると奥はものすごく深い。
3つの部屋を連ねた展示スペースには、それこそ所狭しとばかりに絨毯が敷き詰められている。先ほどご説明いただいたように、踏みしめてみるとそれぞれの絨毯によって足に伝わる感触がそれとわかるほどかなり違う。これが、織り手による違いなのかと、納得。絨毯には主にペルシア・イスラム圏のものと中国(ウイグルやチベットなどの辺境地)・日本圏のものがあるそうで、部屋は入り口から順に西から東のものへと展示が移っていき終点が日本のものになっている。部屋を移動しながら見ていくと、なるほど中国のものには色や柄に中国らしさがありペルシア・イスラム圏のものとは明らかに違うことを知ることができる。
そして、最後の部屋には日本の絨毯が展示されている。日本にも鍋島(佐賀県)、赤穂(兵庫県)、堺(大阪府)といった絨毯(段通という手織りの絨毯)の産地があることを知る。大きな手織りの機械まで展示されている。

部屋を移動している間に見た展示パネルには豊臣秀吉の陣羽織がペルシア絨毯だった話(重いやろなー笑)や祇園祭の山鉾に掛かっている懸装品に使われているのはインドの古い絨毯だというような話もあり、非常に勉強になった。そして、絨毯に興味をひかれるきっかけになった。
そこから、本が展示されている部屋に移動。お店が所蔵するレベルではない。想像以上の量だ。ここには絨毯関係の書籍や美術本だけでなく、シルクロード・故宮・東洋陶器などの本、論文集や学会誌まで広いジャンルの本が揃っている。杉村棟先生の貴重な研究発表資料まである。絨毯だけでなく、イスラム美術や古美術を研究しているひとには垂涎(ヨダレもの)の資料だろう。いかがですか、興味を持たれた方は、ぜひともご来館されることをお勧めします。

今日は取材ということで貴重な体験ができた。役得、役得。眼福のひと言に尽きます。美術館や博物館へ行くのが好きな方は多いだろうが、絨毯(しかも古い希少な絨毯)やそれに関した書籍や資料をこれだけ集めているところはないかもしれない。六甲アイランドには「小磯記念美術館」や「神戸ファッション美術館」などもあるから、一日ゆっくりとミュージアム・ツアーはいかがだろうか。神戸ファッションマート内には食事やお茶を楽しめるお店もありますから。余談ですが、「カネテツデリカフーズ」にも見学や体験ができる工房があるそうだ。

インタビュー&ライティング 田中有史

※写真撮影時のみマスクを外しております。各店舗とも適切な感染症対策を実施しております。

ページのトップに戻る