VOL.05

2023.3.27 MON.

絨毯ギャラリー

何度も現地を訪れ直接工房から買い付けた膨大なペルシア絨毯のコレクションを展示公開している。展示商談のスペースのほかに、日ごろ目にすることが少ない貴重なアンティーク絨毯を鑑賞できる「シルクロード絨毯ミュージアム」、イベントや講演会等、多目的に使える「サロン」などの施設も有している。
神戸ファッションマート 3F

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神戸ファッションマートの中にいったい幾つのスペースを持っているのだろう。展示室、ギャラリー、サロン…一つひとつのルームも広いが、その総面積たるや如何ばかりか。
そして、そこかしかに置かれた絨毯の数。(およそ4000~5000枚はあるとか!)目に映る絨毯の数と広いスペースに圧倒される取材班。まわりをキョロキョロと見渡していると、その前に大熊社長が颯爽と現れた。
そして、お店のこと、ペルシア絨毯のことなどプロローグ的なお話のあとに、いよいよこの店にはまったく意外な印象の“オーダー”のお話をしてくださった。

代表取締役 大熊直子 さん

ゾランヴァリギャッベの日本総代理店の絨毯ギャラリー。父である先代の後を継いで現職となった2代目社長は、見るからにアクティブでスマートな女性である。自ら買い付けのためにイランの倉庫(生産した絨毯を集めた集積所)へ出かけて現地との関係を築いている。この取材のあとも、夜のフライトでイランへと慌ただしく飛び立っていった。

お子さまの絵を
ペルシャ絨毯に織ることができるんですよ。

お子さまの「絵」をペルシア絨毯に?「えっ!」ダジャレではなく、こころの中でそう叫んでしまった。



あるとき、お子さまの絵を絨毯にしてほしいという依頼がありました。お子さまには障がいがあったのですが、一生懸命描いた思い出がいっぱい詰まった絵を絨毯に織ることで長く残したいと願われたのです。それこそ絨毯にすれば100年の思い出として残すことができますからね。しかもイランで手織りしたペルシャ絨毯ですから、大切なお子さまの絵を使った世界にたったひとつしかないプライスレスな一点物です。
この絨毯はイランのゾランヴァリ社で織ってもらいます。ゾランヴァリ社は高い技術と品質で世界的な評価を受けていて、ゾランヴァリ社で織るギャッべ(毛足が長い天然素材の手織り絨毯)は世界の一流品と言われています。折り紙サイズくらいの紙に描いていただいた子どもさんの絵をイランに持っていって織ってもらいます。メールで送ったりするよりも、原画があった方がやりやすいというんですよ。それを見ながら織っていくことで再現性が高くなります。だいたいの織子さんは実物なんか見たこともないライオンを、お母さんが織った絨毯を見て織っていくんですよ。それと同じように目の前に見本が欲しいんですよ。ちなみに手でおるわけですから、精密な絵よりも子どもの素朴な絵の方が絨毯に織るには向いているんですよね。

ほら、こんなふうになります。(と、実際におられた絨毯を見せてくださいました)この絵は六甲アイランドにある認定保育園さんのお子さまたちに描いてもらった物です。そうですね。サイズは40センチから45センチくらいですね。座布団サイズですから椅子の上に敷いたり、壁掛けにしたりします。お値段は、まあペルシア絨毯ですからねえ。それなりにはしますよ。(笑)
お子さまの絵以外の柄ですか?いちばん多いのは会社のロゴですね。会社に敷かれたり記念にしたりされます。どんな柄でもできるというわけにはいきませんが、ご相談に応じられますのでお問い合わせいただければ検討させていただきます。サイズはもう少し大きなものだと、80センチ×120センチくらいのものまではお受けできますが、その場合の原画は画用紙に描いていただくことになります。
とくに広告をしているわけではありません。催事などに出たときに告知している程度ですが、おじいちゃん、おばあちゃんからのオーダーもよくあります。子どもさんの絵をほぼ再現してくれますが、なにぶん手織りですからね、色や柄が多少変わることもあります。それは手織りの味だと思って目をつぶってくださいね。

このお店に入ってまず感じたのは、壁にかかっている絨毯の色がすべて明るいな。ショールームのライティングもお店にしては明るいなということでした。大熊社長にそのことをお聞きすると、「ペルシア絨毯って値段も高いし敷居が高く思われているでしょ。ですから、入店していただきやすいような雰囲気づくりと明るい接客を心がけているんですよ」と、いうことでした。

いかがですか、読者の皆さん。子どもさんの絵が手織りのペルシア絨毯になるなんて、知っていましたか。思い出や成長の記録として長く伝えていく宝物になりそうですね。なんたって、ペルシア絨毯ですからね。いつかは本物のペルシア絨毯を。いいえ、このサイズでも立派なペルシア絨毯ですよ!

インタビュー&ライティング 田中有史

※写真撮影時のみマスクを外しております。各店舗とも適切な感染症対策を実施しております。

神戸チャイハーネ

「日本茶復権」を掲げる日本茶専門カフェ。日本茶ソムリエでもある店主が、日本茶の楽しみ方をさまざまに提案する。外から受ける印象とは違い店内に一歩足を踏み入れると想像以上に広くて快適。「平日は9割が常連」といのもうなずける。ここでは、いままでに味わったことのない日本茶の楽しみ方に出会うことができるはずだ。
神戸ファッションマート 2F

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店主の植木さんを一見すると、失礼ながら日本茶カフェのオーナーと聞いても、どうも見た目と結びつかない。ライブハウスのオーナー、ギャラリーのオーナー。そんな感じの方なのだ。要するに、クリエイティブな印象を受けるひとだ。
前職時代のお話、この店をオープンした経緯とコンセプト、そして今回の「オーダー」にまつわるお話。店主の植木さんのお話はどれも創造的でとても面白い。そのクリエイティブな思考が容貌に表れているのではないかしら。

店長 植木佑平 さん

神戸は元町商店街にある老舗お茶屋さんに勤めていた植木さん。その店で、日本茶ってこんなに美味い!こんなに凄い!という感動を体験。道行くひとに日本茶を振る舞ったり、茶葉を売ったりしていたが、葉っぱを売るだけでは日本茶は普及しない。「自宅ではなく外で日本茶を飲む習慣をつくりたい」と一念発起して、この店をオープンさせた。

お客さまの望みや好みを聞いて、
じぶんのデータベースを駆使してブレンドした
お茶をお出しします。

日本茶って、嗜好品なんですよ。みなさん、そう思って飲んでいますか。コーヒー、お酒、タバコ、スイーツなどと同じで一人ひとりの好みが違うんですよ。仮に「お店のオススメ」と銘打って選りすぐりの日本茶をお出ししても、「あれ?」「これが?」となる場合もあるんですよね。ですから、うちの店のスタンスとしては「当店のオススメ」ではなくて「あなたへのオススメ」なんです。
どういうことかと言いますと、「何度も同じものを出していると、今日は違うなあ。ん?となるときもありますよね」そんなときわたしは、「今回はちょっと遊んでみませんか」という気分でお客さまに接するようにしたいと思っています。それが、ブレンドという供し方に繋がっています。以前はメニューの中からオススメの茶葉をお出ししていました。ほらカウンターの後ろに茶箱のミニチュアが並んでいるでしょ。あの箱に書いてある名前の茶葉を冷蔵して、メニューから選んでいただいたらそれを出していましたが、ブレンドをするようになってからは、箱をディスプレイとして使っているだけです。

具体的に言いますと、まずお客さまの望みや好みをお聞きします。そこから、得られた情報をもとにじぶんのデータベースを駆使して茶葉をブレンドしていきます。データベースとは「日本茶審査技術協議会」という利き茶の腕を競ったり茶葉の鑑定能力を高めていく競技会で積んだ経験、その審査会のために勉強したこと、日本茶インストラクターとしての知識などです。

うちで定番的に提供しているブレンドは鹿児島県志布志の深蒸し煎茶と島根県出雲のかぶせ煎茶のブレンドです。通常ですと、この二つの茶葉は別々のメニューとして出すような、ある意味とんがった茶葉なんです。志布志の深蒸し煎茶は色がキレイですが味が濃すぎます。出雲のかぶせ煎茶は甘味があるけど香ばしさが足りません。
この二種の茶葉をブレンドすることで、色・味・クリアな香りのバランスを失うことなく深みのあるお茶が生まれます。このように自身の中に持つデータベースを使いながら、お客様の要望や好みに合わせたブレンドを提供しています。
面白い要望ですか?いろいろありますよ。たとえば、「シアワセになるお茶を」とか「アタマが良くなるお茶を」とか「カラダが軽くなるお茶を」とか「目が良くなるお茶を」みたいなほとんど無茶振りとしか言いようのない要望もあります。どんなお茶になるのか?効果を説明できるのか?ですか。前述したような要望ですと、ある程度の確信はあります。でも、遊びの要素が大きいのも事実ですね。(笑)
お茶の楽しみ方は大きく分けて「旨みを楽しむ」と「香りを楽しむ」の二つがあります。それに加えて、たまには「ブレンドを楽しむ」ということも、ぜひ試してほしいと思います。

取材中に植木さんの口から「急須を振る」という言葉が何度か出てきました。「急須から注ぐ」ではなく、なぜ「急須を振る」なのでしょう?植木さんに質問してみました。すると、実演付きで詳しくご説明いただきました。

1:まずお茶は熱いと個性が出にくい
2:湯呑みにお湯を注ぎしばらく待ってお湯の温度を下げる
3:適温は70度
4:急須の底を手でふれてみて持てるくらいなら適温
5:茶葉を入れた急須に適温のお湯を注ぐ
6:1分ほど蒸らす
7:急須から湯呑みをワーっと一度に注がない
8:お茶の色を確認しながら少しずつ注いでいく
9:お茶が少なくなってきたら急須を振るような所作で注いでいく
10:最後に残りのお茶を出し切るように何度か振って出なければ完了

だから、「急須を振る」なんですね!本日は、ありがとうございました。

急須に触れて温度を確認

お茶の色を確認しながら少しずつ注ぐ

残りのお茶を出し切るように何度か振る

完成したお茶

いかがですか、読者の皆さん。この手順を守って、美味しいお茶の淹れ方をマスターしてください。そしてぜひ、植木さんに好みや要望を伝えて、ブレンドの楽しみも味わってみてください。

インタビュー&ライティング 田中有史

※写真撮影時のみマスクを外しております。各店舗とも適切な感染症対策を実施しております。

TOPWATER
TACKLE’s

スポーツフィッシングの中でもマグロやカジキなどのビッグゲームに特化したマリンショップ。巨大なショップ面積を持ち、フィッシングや船用品の全般を取り扱っている。大会への多彩な出場歴を持つオーナーは専門的な知識と豊富な実践経験を有している。扱う商品はすべてオーナーが使用し、その実体験をもとにアドバイスを行う。
神戸ファッションマート 3F

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船を買ったら必要なもの、トローリング用の商品などが、マリンショップとしては西日本最大級といわれる店内に所狭しとばかり並べられている。船や釣りの愛好家にはたまらないでしょうね。思わず手に取ってみたくなるはず。釣り道具やウエアなどは使い方も想像できるが、残念ながら船の装備品となると経験のないわたしには、どう使うのかがイメージできないものがたくさんある。まさに、ここはビッグゲームファンの聖地なのだ。
事前に今日のトピックとしてお聞きしていた「フェンダー」も、てっきりクルマのフェンダーのようなものとイメージしていた。普段相手にしている競技者やマニアとはまったく違うわれわれ素人に、部長の油野さんは実物を見せながらわかりやすく説明をはじめた。

部長 油野功一 さん

大学時代は全国の約10校にしかないといわれる「クルージングクラブ」に所属していた。カジキ釣りを趣味とし、卒業後も釣りや船と関わっていたいとこの会社に就職した。油野さんの父もカジキ釣りを好み、その血を引いた油野さん自身もカジキ釣りを愛する。いまの仕事が天職とも言えるほど向いているのだろう。

日本では弊社だけが扱っている、
オーダーできるフェンダーをご紹介したいと思います

テーマの“オーダーという手があったのか”に合うものということで、3つほど考えていたのですが、その中でも船を持っているひとからしたら、「フェンダーがカスタムオーダーできるんだ!」と、いま驚かれている商品をご紹介しましょう。
ご存知のように、クルマのフェンダーはボディーの部位の名称ですよね。でも船の「フェンダー」というのは、船を係留するときに岸壁や隣りに停泊している船に接触して船の舷側部(側面)が損傷しないように保護するために装着するもののことです。使い方としては船の舷側部に船のサイズに合わせたフェンダーを吊します。
フェンダーをイメージしていただけましたか?(はい!よくわかりました 笑)船が大きくなるほど、フェンダーも大きくなります。とうぜん重くなりますし、大きければ扱いにくいものとなります。今回ご紹介するのは、フランス生まれの高級フェンダーである「FENDERTEX(フェンダーテックス)」という商品です。長くフェンダーは重いもの、取り扱いにくいものと思われてきました。でも、従来の樹脂製のものとは違い、このフェンダーテックスはインフレータブル(空気を注入して構造を支持する方式)で素材はテキスタイル(布)を使っています。まずはそこが画期的です。テキスタイルですからとても軽いので、女性でも軽々と扱えます。そして空気を抜いてしまえば、折り畳めますから、収納も簡単です。余談ですが耐久性も優れていて、ブルドーザーで踏んづけても平気なくらい丈夫なものです。そして、テキスタイルのカラーバリエーションも全12色と豊富で、オリジナルデザインにカスタマイズできます。ですから、艇の名前を入れたり、好きな柄にしたりも自由にできます。デザインの自由度もテキスタイルのメリットですね。

こんなエピソードもあります。軽くて強いフェンダーテックスを昨年のボートショーでご覧になったご夫婦の奥さまが大変気に入られました。いつも奥さまがフェンダーの上げ下ろしをされていたのですが、大きな船をお持ちですのでフェンダーのサイズが大きくしかも重いので大変だったので、ぜひこれに変えたいと購入していただきました。フェンダーテックスは通常のフェンダーよりもかなり高価なのですが、奥さまのたってのご希望にご主人は泣く泣く購入をOKされたとか。結果、いつもは両手を使い全身のチカラを込めて持ち上げていたのに、同じサイズを片手で扱えると感動していただきました。オリジナルデザインにするよう奥さまはお望みだったそうですが、さすがにご主人からストップがかかりました。弊社にとっては残念な部分もありますが、本当に嬉しいエピソードとしてお聞かせいただきました。

フェンダーテックスはインフレータブル。コンパクトにかばんにいれて持ち運び自由。

弊社は「FENDERTEX社」の日本総代理店になっています。日本では弊社だけの扱いです。インターナショナルボートショーや西宮で開催されたフローティングボートショーにも出展しましたが、大変な反響でした。今後も、ますますこの商品を普及させていきたいと思います。

油野部長、面白いお話も交えながらわかりやすくお話しいただき、ありがとうございました。いかがですか、読者の皆さん。なかでも船をお持ちに方なら、こころがグラッときたのではないでしょうか。グラッときた方は、ぜひお店へ急いでください。将来は船を持ちたいという方も、ぜひ、お急ぎください。

インタビュー&ライティング 田中有史

※写真撮影時のみマスクを外しております。各店舗とも適切な感染症対策を実施しております。

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