店長 宮島寿史さん
もとはインテリアにゆかりはなかったが、販売に興味がありアトリエ木馬に入社して7年目。店舗責任者として、販売はもとより商品の提案、アフターフォローも担当する。九州の本社工場まで原木を見に行った経験、一枚板の納品立ち会いで得た知識をフルに生かした提案でお客さまからの信頼は厚い。
Q:一枚板の一枚ってなんですか。
取材が決まり、今回はどんなお話をお聞きしようかと思ったときに、ふとアタマに浮かんだのが「一枚板ってなんで、一枚板って言うのだろう?」「一枚板の一枚ってなんなのだろう?」という、素朴な疑問だった。まずは、その素朴な疑問から話を切り出してみようと、取材にのぞんだ。結果として、大正解。良い話を聞くことができたと思う。一枚板の本質に迫れたのではないだろうか。う、う、ん?自画自賛?(笑)さて、さて、どんなお話が聞けたのか。どうぞ、読んでみてください。
A:一枚板はスペックのない商品。同じものはない商品。
宮島さん:一枚板の一枚は、“この一枚しかない”“唯一無二”の「一」から来ています。規格品のように同じものがこの世に存在しない。あなたの眼の前にある、その一枚の板と同じものは世界中を探してもないですよ、ということです。スペック(決まった規格)がない商品なので、その一枚だけが持つ魅力をお客さまが気に入っていただかないと、販売には結びつきません。それが楽しいところであり、とてもエモーショナルな商材なので難しい一面も持っています。オンラインで見て、ポチッと買うというわけには行きませんからね。その分、われわれにとっては、販売冥利に尽きるというか、楽しさも大きいと言えます。接客論というところで言いますと、微妙に外したところから核心、つまり「これがこの方にハマるだろうな」というところに迫っていくような機微があります。
半分以上のお客さまが新築です。ですから、家の完成に合わせて納期が決まってきます。神戸ファッションマートにはさまざまなインテリアショップがありますから、いろんなブランドの家具を見ることができます。多くの家具を見て回られて、「一枚板も良いかもね」と、うちへ来られる方も大勢いらっしゃいます。ホームページで見て、インスタで見て、そして店で見て。と、家具を決めるまでにはいろんなプロセスがあります。すぐに決まるようなものではないですが、「思っていたものとは違うけど、これに惹かれるなあ」と、最後は直感でこれが良い!となるものだと思います。見て、触って、手に取ることで温もりが伝わり、ひとと木の関係ができていくものだと思います。それも、木の大きな魅力です。

素材としては価格も高いものですし、希少性も高いです。それが一枚板というものです。傾向としては、お客さま自身に木への愛着があるような方ですと、購入商品が決まるのも早いですね。“こころに火が付く”ような、そんな感覚ですね。そのときは、じぶんの接客がワンランク上がったような気持ちになります。余談ですが、買われるとき、お店では立てかけてディプレイしていますが、平置きして眺めて見るとイメージしやすくなります。
一枚板は工業製品ではありません。経年変化による色の変化や、使っている間に付いた傷も味であり、その一枚板の歴史の一部です。そういうことを理解して付き合っていただくと、一生お客様に寄り添っていく存在になります。購入を通して一度お付き合いがはじまると、つぎの新たな商品を買っていただくだけではなく、商品をリメイクするようなご依頼も多々あります。私たちとお客さまにも、納品後の長い関係が生まれていくわけです。それもこれもふくめて一枚板の魅力です。

宮島さんのお話をうかがうと、熱い“一枚板愛”がヒシヒシと伝わってきました。商材に惚れ込んでいるから、お客さまにこころからオススメすることができるのでしょうね。じぶんだけのテーブル。世界にひとつのテーブル。なんだか、大きな浪漫がありますね。ぜひ、一度、一枚板とはどんなものか見て、触れて、温もりを感じてほしいものです。
インタビュー&ライティング 田中有史