独自の商品セレクトアイとは?
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ラグ&カーペット
ティーズ

店内にはペルシア絨毯、キリムが山のように積まれている。とは言え、乱雑ではなく整然と(高価なものですからね!)。いったい、何枚あるのだろう(何百枚?何千枚?)。大半がイラン革命(1979年)以前のものだそう。希少なものばかりだ。壁に掛けられた絨毯を眺めていると、色や柄に引き込まれてしまって、ジット見入ってしまう。一枚一枚のストーリーを玉木さんから聞くのも、この店を訪れる楽しみの一つだ。

神戸ファッションマート3F

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オーナー 玉木康雄さん

大学卒業後、百貨店の外商部に勤務したあと一念発起して退社。イラン人のもとで修行し、約30年前に独立。特殊な世界であるペルシア絨毯への造詣は驚くほど深い。そして独自の仕入れコネクションを持っている。とにかくその知識と経験に触れ、さまざまな商品を見るだけでもこの店に行く価値がある。

Q:玉木さん独自の商品セレクトアイとは?

すでに3〜4度目になるのかな、玉木さんへのインタビューも。「もう、話すことなんかないですよ。」「いつも同じ話しばかりでしょ。」と、おっしゃるが、そんなことはありません!話は水物(みずもの)。同じ主題であっても、聞くときによってディティールが違えば、新しい話に聞こえます。これまで理解していたつもりのことが、さらに理解を深めることにもなります。玉木さんのお話には、そんな不思議な魅力があります。
常連のお客さまなんか、丁々発止とまではいかなくても、話のやり取りを楽しみにこの店に来ているだろうなあ。と、容易に想像できます。さて、今日はどんな話で楽しませていただけるのか。常連インタビュアーとしましては、今日のやりとりがとっても楽しみなのである。

A:じぶんの価値観としてゆずれないものがある。

(のっけから、これですからね。独自性の塊です。このひと言で玉木さんには他のご同業の方にはない“独自のセレクトアイ”が備わっていることが想像できてしまう)

玉木さん:ぼくは無策です。なにも考えていません。ただ言えることは、じぶんの価値観としてゆずれないものがある。だから、流行り廃りや、売れるからって理由ではなく、大切にしているのは、じぶんの価値観なんです。それに賛同してくれるひとがこの店に来てくれれば良い。それだけなんですね。その姿勢は商売だけじゃなくて、雇用にもつながっています。この店にひと(従業員)を入れる気が一切ないのも同じ理由です。価値観が同じひとを雇うには大変です。
売れないと暮らしていけないですから、かつては、仕事は仕事と割り切っていました。じぶんの価値観なんかにこだわっていても売れなくては仕方がないですからね。でも、バブルが崩壊して高額な調度品であるペルシア絨毯が売りにくくなりました。1993年に共同経営者と別れたのが転機でした。そのころは、売って儲かるものを扱っていましたからね。

いまは?そうですね。うちにある商品は「在庫商品でもありコレクションでもある」という感じですね。ほら、床から商品が積み上がっていますよね。重なった下の方には、底の方から出てこないから仕入れて以来、いまだにひと目にふれていないようなものもあります(笑)。それでは、商売としては困るんですけどね。だから在庫品でありコレクションでもあると思っているわけです。だって、20年以上前に仕入れたもので、いまになって「これ、ええやん!」っていうものもありますからねえ。遊牧民の絨毯を、ネットもなくトライバルラグ(中東の遊牧民が手織りした絨毯で1点物が多い)なんて言葉が知られていない時代に扱っていたわけですから、好きなものをやって行くことしかなかったというのもあるかもしれません。

この世界は恐ろしいくらいピンキリで、イラン人と付き合い続ける中で、見る目が養われていく感覚ですね。そこで、はじめて“ホンモノ”を知り“ホンモノ”を見分けられるようになります。言い方は良くないですが、標準語を話せて、良い店構えをして、広告や店の内装にお金をかければ、お客さまなんか簡単にだませてしまいますからね。もちろん、騙してはいけませんが。
うちは、そうやり方じゃなくて、ワタシの価値観に賛同してくれるひとと出会うのをお待ちしているだけです。紹介で来られる方もありますが、常連に言わせると「紹介したくない店」でもあるらしい。ちょっと困りものですけどね…(笑)。どういう意味で言っているのでしょうね。「大事にしたい店」「ひとには言いたくない店」だと、良い意味で解釈していますけどね。そんなこんなで長い期間、一枚も売れないこともありますからねえ。短期間なら大丈夫ですが、さすがにあまり長く売れないとヤバイです。営業活動をあまりやっていない体質のせいもあるでしょうね。それでも、インスタを見てやってくるひとは多いですから、それはそれでいいと思っています。うちの絨毯は個性的なものが多いですから、うちの絨毯を買うひともけっこう個性的だと思いますよ。店主もお客も個性的。それでいいじゃないですか。これからも、気にいらないことはしない。楽しいことをやる。ここは変わらないでしょうね。

今回も楽しいインタビューでした。楽しいことしかしたくないというひととのお話が、楽しくないわけがないですもん。取り扱い額がまったく違うのでビジネス感覚としての比較にはならないかもしれません。でも、「ひとを雇い入れたくない」「じぶんの価値観に共感してくれるひととだけやりたい」という考え方には大いに賛同できます。だって、じぶんがその商品やその仕事が好きでやっているはずなに、ひとを入れてひとにやってもらって、じぶんは数字だけ管理(経営だけ)するなんて、面白くないと思うもの。玉木さんはクリエイターに近い感覚のひとなのでしょうね。そんなひとが選ぶ商品に独自性がないわけがない。いつか、ここでペルシア絨毯を買いたいなあ。(と、いつも思うのですけどねえ)今回もありがとうございました。

インタビュー&ライティング 田中有史

 

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